第23話「お見合いからの2回目デート」

ほっこりと柔らかな春の陽ざしのような「ほっこりさん」と
今日は2回目のデート。

前回のデートでは新たな発見もあり、”楽しい” が心に灯をともして
もらったような ”温かさ” に変わり今までにないような感覚になった
こんな人は今までにいなかったなぁ…

そういえば、今までの人はみんな初回のデートで終わっていた
お見合いをした人で、2回目のデートも初めてのことだ
今日は、どんな日になるのだろう。

今日のデートは夜のお食事だが、せっかくなのでその前に浜離宮庭園を
歩いてみようということになった。
待ち合わせ場所に現れた彼女は、今日もニコニコしている
その笑顔を見るだけで、とても癒され落ち着いてくる。

ここには来たことがあるか…とか、今週の出来事とか何気ない日常の会話を
しながら歩いていた時にふと、ほっこりさんが立ち止まり
「ここは都心なのに緑がいっぱいで、でも隣を見れば高層ビルが立ち並んでいて
面白いですよね…」と言ってビル群を見上げた

えっ…? 自分は、そんなことを気にもしていなかったし思ったこともなかった

何も言えないでいると、
「高層ビル街は “日常”、ここ浜離宮は “疲れを癒す所”、両方必要ってことですよね
 バランスが大事だけど…そうは思ってもなかなかね」そう言ってまた笑った。

自分は、そうですよね…しか言えなかったけれど、自分の中では、こんなことを
言った人は初めてだ…この人は素直で自然な人なんだな…そんな思いが沸き上がっていた。

浜離宮庭園を散策しているうちに、夜の食事の時間が近づいてきた

今日は少しお酒も飲める場所ということで、気軽な居酒屋もいいけれど
ちょっとお洒落なダイニングバーを選んでみた。

ほっこりさんも気に入ってくれたようで、お料理も楽しみですね…とニコニコ
しながらメニューを見ている。

飲み物を先に選び料理を選んでいる時も、こちらを気遣いながらも自分の意見も
言ってくれる、自分の意見を言っても強いわけではなく柔らかくてで心地が良い。

お酒を少しずつ飲みながら会話も自然と流れていく
料理が次々と運ばれ、こちらの選んだ料理が運ばれてきたときも「初めてです」と
言って嬉しそうに口に運んでくれる。

そう!今日、目の前で飲んで食べているほっこりさんを見ていて思ったことだが
ほっこりさんは、本当に美味しそうに飲んで食べて幸せそうな顔をしている
そしてその姿に見ている自分が幸せな気持ちになってくる。

それを伝えようと思ったが、多分恥ずかしがってしまうかもしれない
今はまだ、その時期ではないのかもしれない…そう判断して代わりの質問をしてみた。

ほっこりさんは、いつもニコニコしているが、それがとても自然で素敵であることを
伝えると「どんな楽しいことがあるのかな…どんな楽しみが待っているのかな」
そう思って生活をしているという

そう思うと楽しいことを見つけられ、起こる出来事も ”楽しい” に変換できるようになってきた
らしい、感謝もできるようになってきたという。

すごいポジティブだ…自分は、まだまだだそこまでいけないことを言うと

生活をしていれば嫌なこともあるし落ち込むこともある、でもそこばかりに目を向けて
いると、どんどん落ち込んでしまうしツラくなってしまう
だから、そんな自分も味わって認めて、そろそろ次に行こうかと切り替えているという

笑いながら話す、ほっこりさんを見ていると自分も明るく元気になってきた
こんな人が一緒にいたら、そばにいてくれたら自分も元気になれるかもしれない
そんな思いが溢れ出てきた、彼女と真剣交際に進めたい、そう思った。

相談所の交際には、同時に何人かの人と並行して交際ができる「プレ交際」と、
お相手を一人に絞り成婚に向かう「真剣交際」の2種類がある

自分も相談所に入ってから知ったことで最初は驚き意外だったが、大抵は
4,5回目くらいのデートで見極めをするらしい。


でも、自分はそこまでいかなくても今日2回目のデートで真剣交際をしたいと思って
しまった。

お相手のほっこりさんはわからないけど、自分のこの気持ちをカウンセラーさんに
伝え相談しよう

どうなるかはわからないけど、ほっこりさんのような人に出会えただけでも幸せだな
感謝だな…そんな気持ちでいっぱいだった。

story by 桜結